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フォートナイトから見るメタバースの可能性

ここ数ヶ月、『フォートナイト』というゲームにハマっています。 このゲームを始めてからというもの、もともとショートスリーパーではあったのですが、それに拍車がかかりまして、毎晩のように2時、3時までプレイするという「新たな日常」が始まってしまいました(笑)

フォートナイトって?

フォートナイトは米国のEpic社が開発したTPS(Third Person Shooter)というジャンルのゲームです。
TPSとは、プレイヤーが主人公の三人称的な視点(主人公の後ろから俯瞰するイメージ)に立ち、ゲームの中でサバイバルゲーム(銃の撃ち合い)をするというもの。フォートナイトはこれに、バトルロイヤルの要素を加味し、100人のプレイヤーが戦って、最後に残った1人が優勝!となります。

フォートナイトはこのジャンルのメガヒットになっており、世界で3億人以上のプレイヤーがいるとされています。大人の皆さんは「最近、何やらAppleと揉めたらしいぞ」というニュースを聞いたことがあるかもしれません。

「銃で撃ち合うゲーム」というと、何やら残酷なイメージを持つ方もいるかもしれませんが、キャラクターはアメリカン・コミック風の出で立ちをしており、激しい描写もありません。その甲斐もあり、世界中の子どもたちの間でブームとなっており、学校での話題の中心になっているようです。

昨年にはフォートナイトの世界大会が開催され、当時16歳の少年が優勝し3億円以上の賞金を獲得しました。単体の大会の賞金額として、いまやフォートナイトはテニスやゴルフなどのメジャースポーツに肩を並べる存在になっています。

何がスゴいのか

このゲーム、いろいろと特徴があります。そして、その特徴がそのまま「スゴさ」にもつながっています。いくつかポイントをご紹介しましょう。

①無料で遊べる。それなのに、巨額の利益を生んでいる

まずこのゲーム、無料です。プレイをするのに1円も必要ではありません(もちろん、プレイするためのハード機器は必要ですが)。ゲーム内で課金する機能はありますが、それがゲーム内の強さ/弱さや勝敗には「一切」関係しません(お金を出して高い武器を買う、みたいな感覚は皆無です)。

しかし、多くのユーザーは課金を行い、Epicはそれによって巨額の利益を得ています(一説には年間数千億円規模)。一体、何にお金を払っているのか。

ユーザーは、主人公がまとうコスチュームに課金をしているのです(一つあたり、数百円から数千円)。フォートナイトでは、毎日のように新たなコスチュームが発表され、その多くは短期間しか買うことができません。
プレイヤーは、自分の分身である主人公を着飾るため、またはコスチュームをコレクションするため、日々課金しています。繰り返しますが、ゲームの巧拙や勝敗に一切関係しないにもかかわらず、です。

②腕前を上げる機会に溢れている

お金の多寡がプレイに影響しないとなると、勝敗を決めるのは純粋に腕前、ということになります。そしてフォートナイトは、腕前を上げるためのさまざまな機会が提供されています。

前述のとおり、億単位のプレイヤーを抱えるフォートナイト。Youtubeには攻略法やスキル上達につながる動画が数多く公開されています。皆がその動画を見ながら、日々新たな情報やスキルの習得に励んでいます。

フォートナイトの中には「クリエイティブ」という、プレイを練習するための空間も用意されています。ここにも、世界中の有志が作成した「練習のための空間」が数多用意されており、プレイヤーは自身の課題を克服するための空間を選んで練習を繰り返すことができます。

自分のプレイ動画はすぐにリプレイで検証可能。その動画を他のプレイヤーに送ったり、Youtubeに配信したりすることも簡単にでき、そこからフィードバックを受けることもできます。さらには、オンラインでフォートナイトのレクチャーをする家庭教師も現れました。

つまりフォートナイトは、SNSやオンライン配信ツールなどと連動しながら、プレイヤーがどんどん学習していけるエコシステムを生み出している。適切な「学び」の態度を備えれば、どんどん上手くなるわけです。逆に、漫然とプレイしているだけではなかなか勝てない、という話でもあります。

③もはや「ゲーム」に留まらない世界観/まるで「部室」のような雰囲気

フォートナイトには、プレイヤーが1人で戦う「ソロ」以外に、2人チームで戦う「デュオ」、4人チームで戦う「スクワッド」というモードがあります。特にスクアッドでは、仲のいい仲間が集まり、チームを組んで一緒に戦うことになります。その際、ゲーム内のボイスチャットを通じて意思疎通を図っていくことになります。

このボイスチャットが楽しいんです。もちろん、ゲームの作戦や戦術を共有することがメインの目的ではあるのですが、ゲームの合間には雑談が入り混じります。感覚的には、麻雀やゴルフの雑談に近いと言えば伝わるでしょうか。
麻雀やゴルフも、よほどストイックにやっている人でなければ、この雑談を楽しみにしているという人も多いのではないかと思います。まさにあの感覚が、家にいながら、ゲームをしながら再現できるのです。

現に私も、30代から40代の友人とチームを組み、夜な夜な参戦しています。22時くらいになると「誰かいないかな」という感じでゲームにログインしてみる。これはちょうど、学生時代に部室に立ち寄るような感覚です。 コロナ禍によって飲み会やゴルフの機会が激減し、「大人の社交」の場がなくなったようにも思われていますが、ゲームの世界でそれに近い光景が実現できているのです。

④世代をまたいで楽しめる

前述のように、フォートナイトは子供の間で大人気です。
FPSというゲームジャンルは反射神経がモノを言い、となれば若い人のほうが有利なジャンルと言えます。実際、小学生の子どもとプレイすると、大人を遥かに凌駕する腕前を見せつけられることが多いです。

仮にこのゲームが、課金によって強くなるという要素があれば、経済力に勝る(笑)大人が勝つかもしれませんが、あいにくそういう要素はありません。逆に子供の視点に立てば、経済力で負かされない「フェア」な世界であるとも言えます。

デュオやスクワッドで、親子や家族がチームを組む光景もよく見られます。大人も子どもも、負けないように腕前を磨く。今やフォートナイトは、家族や親子の共通体験になりつつあるのです。

⑤さまざまな外部コンテンツとのコラボ

これだけ多くのプレイヤーが参加し、ハマっているフォートナイトは、単にゲームに留まらず。さまざまなコンテンツが乗っかるプラットフォームへの進化しつつあります。

今年8月、米津玄師がフォートナイト内でライブイベントを行ったというニュースを目にされた方もいらっしゃるかもしれません。これは、プレイヤーがフォートナイトの世界にログインし、空間内にセットされた舞台を通じて米津玄師のパフォーマンスを観覧するという仕掛けでした。
米津玄師だけでなく、世界の高名なDJや歌手がフォートナイト内でパフォーマンスをする機会が増えています。また、映画を配信し、みんながログインしてそれを観るという企画もありました。

コロナ禍の現在、アーティストがオンライン上で自身のパフォーマンスを配信することは珍しくないかもしれません。しかし、そのプラットフォームにフォートナイトが選ばれていることは注目に値します。

私も何度か、この配信イベントには参加していますが、パフォーマンスを見ることはもちろん、周りの参加者との交流(それぞれのコスチュームを比べたり、ボイスチャットで会話したりする)も楽しめました。他の配信イベントが、アーティストから観衆に向けた1対n型であるのに対し、フォートナイトの配信はよりインタラクティブなコミュニケーションを楽しめます。

これは「メタバース」の本命なのか

フォートナイトの魅力はまだまだ書ききれないのですが、ここまでお読みいただいただけでも、単なるゲームの域を超えた存在になり得る可能性を感じていただけたのではないでしょうか。

少し前から「メタバース」という言葉が広まりつつあります。
「超越する」という意味を持つ「メタ」と、宇宙の「ユニバース」を組み合わせてつくられた言葉で、簡単にいうとインターネット上に構築された多人数が同時にログインできる仮想世界のこと。メタバースの中で、プレイヤーは自身のアバターを操り、他のプレイヤーと交流することができる、という概念です。

コロナ禍によってリアルな空間やコミュニケーションの価値が見直されるにあたって、「別の選択肢」として浮上しているのがメタバースなわけですが、フォートナイトはまさにその最前線を突き進んでいると感じます。

今はまだゲームが主軸ですが、すでに多くの文脈を取り込みつつあり、数億人のユーザーも抱えている。
そして、ゲームであるがゆえに、しかも「ハマる要素」をふんだんに備えたゲームだけに、飽きられず多くのプレイヤーがアクセスし続けている。
そのうち、フォートナイトの中でビジネスミーティングをする、仕事をする、なんて進化を遂げるかもしれません。実際、フォートナイトを通じて英会話を教える先生も現れ、日常生活の中にどんどん浸透する気配を感じています。

一緒にやってみましょう

ある意味、これが今回のメルマガの本題かもしれません(笑)
こんなに楽しいフォートナイト、ぜひやってみましょう。近いうちに、BASE Qでフォートナイト関連のイベントをやってみたいと思っております。その際はぜひ、お気軽にご参加ください!

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光村圭一郎(こうむら・けいいちろう)

1979年、東京都生まれ。 早稲田大学第一文学部を卒業後、講談社入社。2007年、三井不動産に転職。 ビルディング本部にて開発業務、プロパティマネジメント業務に従事。その後、2012年より新規事業担当。三井不動産初の本格的なインキュベートオフィス立ち上げを主導。2018年には、東京ミッドタウン日比谷に『BASE Q』を開設し、大手企業のオープンイノベーションを支援するプログラムの提供を開始。