【光村コラム】大企業を動かす『Deep Skill』をどう考えるか
※本記事は2022年11月4日にBASE Qメールマガジンより配信された内容を転載しております。
皆さん、こんにちは。BASE Qの光村です。
BASE Qでは毎年、イントレプレナーの育成プログラム「Qスクール」を開催していますが、
そこで講師を務めていただいている石川明さんが新著『Deep Skill』を発表されました。
本著では、石川さんがリクルートに勤務した時代や新規事業としてオールアバウトを立ち上げた経験、
そして新規事業の伴走者として多くの企業のイントレプレナーと向き合ってきた知見をもとにまとめた、
人と組織を巧みに動かすための21の技術が紹介されています。
大企業で新規事業を立ち上げるメリットは、社内のリソースを活用できることにあります。
しかしそれも、組織に働きかけ、人の共感を得て初めて実現できること。
逆に、そうできなければ、元来新規事業には「不向き」な組織である大企業で苦戦することは免れません。
そういう意味で本著は、新規事業担当者必読の書とも言えるでしょう。
身も蓋もない現実に向き合う
「上司は保身をはかる」「部署間対立は避けられない」「権力がなければ変革はできない」など、
ある意味で身も蓋もない「現実」に対応していくことが重要であると、石川さんは述べています。
そして、そのために「組織力学」と「人間心理」を理解する必要性を訴えています。
「正論を主張しても組織は動かない」「『ずるさ』ではなく、『したたかさ』を磨け」という本著のメッセージは、
イントレプレナーにとって「そうそう、そうだよなあ」と深くうなずくものばかりです。
昨今、変革や新しい価値を生み出すためには「ビジョンが大切」「人を惹き付けるには強いメッセージが欠かせない」
というような言説が多く飛び交っています。
そして、その立場に立ったときに求められる人物像は、「多くの人がとらわれている『常識』に固執せず、
自身の意思を主張する」というようなもの。
しかし、その正しさをそのまま表明するだけでは、特に大企業のような組織に響かないのも事実。
つまり、芯を曲げず、しかし大企業の「中の人」に理解されるように振る舞うというバランスが大事になってくる。
そのように理解しながら、僕はこの本を読みました。
この本もある種の「正論」ではないか?
率直に言います。
おそらく、この本に書かれていることは概ね正しい。ただ、「正しすぎる」のではないか?
本著で紹介されている21のスキルは、イントレプレナーに限らず、組織で働く人であれば
すべからく身につけるべきものであります。そこに疑問の余地はありません。
一方、こんな疑問も浮かんできます。
このすべてを一人のビジネスパーソンが身につけることが、本当にできるのか?
その上で、新たな価値を生み出すためのビジョンやリーダーシップを発揮できるのか?
そんなスーパーマンは存在するのだろうか?
「正論では組織は動かない」と言いつつ、人に対して「正論」を求め過ぎていないか?
こう感じてしまうのは僕自身のスキルの拙さ、未熟さゆえかもしれませんが、
本著を読み終えて学びが多かったと感じつつ、このようなモヤモヤが残ったのも事実なのであります。
モヤモヤをぶつけるイベントやります
ということで、このようなモヤモヤを石川さん本人にぶつけるオンラインイベントを開催します。
当日は石川さんに加え、カルビー株式会社でCHROを務めていらっしゃる武田雅子さんにも登壇いただき、
本著に対する感想や、それぞれが持つ「ディープ・スキル」について語り尽くす予定です。
ぜひ、『Deep Skill』をご一読の上、ご参加ください!
※本イベントは終了いたしました。
また、11月9日には、BASE Q名物の『新規事業・イノベーション概論 2022秋版』も開催します。
従来からの人気コンテンツに、最新の動向や知見を盛り込んだ内容となっておりますので、
初めての方も、これまでに参加したことがある方も、お気軽にお申し込みください。
※本イベントは終了いたしました。
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