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【光村コラム】最新アンケートから見る現代版「人のつながり方」

※本記事は2021年12月2日にBASE Qメールマガジンより配信された内容を転載しております。

こんにちは、BASE Qの光村です。
私が今、「デジタルBASE Q」というプロジェクトを担当していることは、前回もお伝えをしました。

簡単にいうと、イノベーションを志す人たちに向けた、出会いと初期の関係構築のためのコミュニケーションの新しい形をオンラインでつくることを目指しています。

先日、こちらの検討を進めるにあたり、アンケートを実施しましたので、今回のメルマガではその結果についてお知らせしたいと思います。

アンケートの結果は

今回のアンケートのタイトルはズバリ「人と人の『出会い』と『関係構築』に関する意識調査」。人は初対面の人と会ったとき、その人に対して好感を持つか否か、今後も継続していきたいか否かを何らかの形で判断していると思うのですが、その判断軸として重視する要素を聞くというのが趣旨で、約180名の方に回答をいただきました。

回答者の分母は、BASE Qのメルマガ購読者や私の SNSでの友人が中心で、いわゆる新規事業やイノベーションというテーマに親しんでいる方々。デジタルBASE Qがリリースした暁には、ターゲットになり得る人たちとも考えています。

1つ目の質問では、初対面の相手のことをもっと知りたい、関係を続けていきたいと考えるときに重視する要素を聞いています。今回のアンケートでは、こちらから10の選択肢を示し、各自が重視する順番に並べてもらうこととしました。その選択肢は、以下のとおりです。

1.自分が信頼している人から評価されている
2.自分にとって有益な情報を提供してくれる・話題が豊富である
3.多様な視点を持っている
4.対話のテンポが良い・話術に長けている
5.異なる意見であっても真っ向から否定しない・議論が成立する
6.自分の話を丁寧に聞いてくれる
7.高い専門性を有している
8.信用できる会社や組織に所属している
9.話題や意見に対して具体的な裏付けがある
10.自分と近しい価値観を持っている

これらの選択肢の中で、もっとも多くの人が1番目に重視すると回答したのが「異なる意見であっても真っ向から否定しない・議論が成立する」でした。22.1%の方が選択しています。

また、僅差で2位につけたのが「自分にとって有益な情報を提供してくれる・話題が豊富である」で21.5%。以下、「自分が信頼している人から評価されている」(17.1%)、「多様な視点を持っている」(16.6%)、「自分と近しい価値観を持っている」(12.2%)が上位に並ぶ結果となりました。

逆に、1番目に挙げた人が少なかった回答は「信用できる会社や組織に所属している」(回答ゼロ)、「自分の話を丁寧に聞いてくれる」(1.1%)、「話題や意見に対して具体的な裏付けがある」(1.7%)などが並びました。

別の集計方法では

別の集計方法による結果もご紹介します。先ほど述べたとおり、今回のアンケートでは10個の選択肢を重視する順に並べていただきました。そこで、1位=10点、2位=9点、3位=8点……という形で得点を付け、その合計点のランキングも集計しました。

この集計方法で1位となったのは、先ほどの集計方法では4位だった「多様な視点を持っている」という選択肢でした。1番目に重視すると答えた人は少なかったものの、2番目、3番目に重視する人が多く、総合点ではトップとなりました。

以下の順位は2位「異なる意見であっても真っ向から否定しない・議論が成立する」、3位「自分にとって有益な情報を提供してくれる」、4位「話題や意見に対して具体的な裏付けがある」、5位「高い専門性を有している」、6位「自分が信頼している人から評価されている」、7位「自分と近しい価値観を持っている」などとなっています。

「対話」と「情報の質」を重視する姿勢

このアンケートからどんなことが読み取れるのでしょうか。
もっとも重要な点は、多くの人が「対話」を欲している、ということです。

じつはアンケートを集計する前、私には一つの仮説がありました。それは「人は、自分に近い価値観を持つ人に共鳴し、仲良くなろうとするのではないか」というものです。昨今、価値観の一致や共感の重要性が叫ばれ、特にイノベーションに挑戦する人たちの間では、これらの要素は重視されるのではないかと思っていました。

しかし、それに対応する選択肢である「自分と近しい価値観を持っている」は、いずれの集計方法でも上位となりませんでした。その代わりに上位に並んだのが「多様な視点を持っている」「異なる意見であっても真っ向から否定しない・議論が成立する」です。これは、少なからぬ人が価値観の一致よりも、価値観の違いを乗り越えようとする対話を重視している傾向を示すものと受け止めることができます。

もう一つの回答者像として「情報の質」を重視するという回答者像も見えてきます。
そもそも「自分にとって有益な情報を提供してくれる」という選択肢が上位にあるのに加えて、「話題や意見に対して具体的な裏付けがある」「高い専門性を有している」という選択肢も上位に並んでいます。
情報の流通量が増えている現代、聞きかじったことを並べても「それなり」に語れる人が増えていると個人的には感じています。しかし、そのような人が並べる話題には大きな価値はない。それよりも、実績や長い蓄積に裏打ちされた専門性に担保された情報を大切にするという、非常に理知的な姿勢が見えてきます。
 
ここまでの結果をまとめると、「対話能力」と「情報の質」という2つの要素が、初対面での人物判断に大きく寄与していると言ってよさそうです。

SNSが可視化する「人の信頼」

また「人が信頼している人から評価されている」という選択肢にも注目したい。
総合点では10位に沈みましたが、1番目に重視していると回答した人は全体で3番目。自分が信頼している人からの評価に基づき一次判断をすることの“効用”を実感している人が、それなりの数でいることがわかってきます。

ここでいう「評価されている」というのは、直接的に推薦されるという意味もあるでしょうが、SNSによるつながりの可視化という要素もあるのではないかと考えています。

SNSを通じて人と人のつながりが可視化され、それを第三者が把握することも容易な時代。自分が「イケてる」と思う人が、よくSNS上でコメントを応酬しあっているのを見ると、「この人が真剣に相手をしているのだから、おそらくこの相手もイケてるのだろう」と類推することも可能です。

私個人も、このような SNSの使い方はよくするので、この選択肢を回答する人の気持は理解できるところです。

現代版の「仲良くなり方」「イノベーションの興し方」

以上のような分析を総合すると、現代社会における次のような「仲良くなり方」「イノベーションの興し方」が見えてきました。

初対面の人に対しては「対話する姿勢」、もしくは「情報の質」という物差しで、相手を推し量る。そして、その人との関係を持続するかどうか、判断を行う。その際、自分が信用している人からの評価という要素も加味されることがある。

「関係を持続する」と判断した人とは、SNSなどを通じて、ライトな形で関係を続ける。そして、そこでさまざまな論点に対して対話し、価値観や意見を交換する。もしくは有益な情報をやりとりする。
そのような関係性を一定期間持続することでその相手をさらに深く理解し、価値観の一致を見ることや実力を正しく評価するという結果につながる。そして、いざ自分が何か新しいことに挑戦するときは、それらの関係性の中で声を掛けて初期のチームを構築する。

後半はやや飛躍している部分があるかもしれませんが、「デジタルBASE Q」における「出会い」と「関係構築」のあり方を議論するに足りる仮説になっているのではないかと思います。

「デジタルBASE Q」は徐々に、モックアップを活用した実証実験フェーズに進んでいきます。実証への参加をお声がけさせていただくこともあるかと思いますので、引き続きご注目いただけますと幸いです。

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光村圭一郎(こうむら・けいいちろう)

1979年、東京都生まれ。 早稲田大学第一文学部を卒業後、講談社入社。2007年、三井不動産に転職。 ビルディング本部にて開発業務、プロパティマネジメント業務に従事。その後、2012年より新規事業担当。三井不動産初の本格的なインキュベートオフィス立ち上げを主導。2018年には、東京ミッドタウン日比谷に『BASE Q』を開設し、大手企業のオープンイノベーションを支援するプログラムの提供を開始。